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Channel: Bari2 Legend
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"ネットワークがコンピュータである クラウドを提唱したのは、グーグルの会長兼CEOであるエリック・シュミットだ。彼は、このアイディアを思いつきで言ったわけではない。これは、25年前からの彼の信念なのだ。 ..."

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ネットワークが
コンピュータである

 クラウドを提唱したのは、グーグルの会長兼CEOであるエリック・シュミットだ。彼は、このアイディアを思いつきで言ったわけではない。これは、25年前からの彼の信念なのだ。

 シュミットは、サン・マイクロシステムズ社のCTO(技術担当執行役員)だった。同社は、1982年の設立当初から“The Network is the Computer”(ネットワークこそがコンピュータなのである)を理念としていた。93年、シュミットは、「ネットワークがプロセッサ並みに高速になれば、コンピュータは空洞になり、ネットワークに拡散する」と述べ、「そのためにはネットワークの速度向上が鍵だ」と予言した。

 しかし、その当時のインターネットのスピードでは、「ネットワークがコンピュータになる」というこのアイディアは、とても実現できなかった。それから、10年たって、夢が現実のものとなったのである。こうした事情があるので、グーグルがクラウドの提供者になるのは、不思議なことではない。

 私が驚くのは、IBMやアマゾンが、そしてついにマイクロソフトまでが、この分野に乗り出してきたことだ。IBMは主として大企業を相手にビジネスを展開してきた企業だから、このような低価格のサービスには無関係と思っていた。そして、アマゾンは本屋だと思っていた。マイクロソフトにいたっては、ウインドウズやMSオフィスなど、PC(パソコン)にインストールして用いるソフトが収入源だ。クラウド・コンピューティングに乗り出しては、自分の首を絞めてしまうことになるではないか?

 もちろん、マイクロソフトは、クラウドの潮流に逆らえば自らが滅ぼされることを熟知している。これは、それほど重要な変化なのだ。しかし、社内に反対者はいないのだろうか?

 日本の企業では、ソニーに関してしばしば言われるように、過去に成功した事業の関係者の既得権が強いために、新しい事業分野に展開できないのだという。こうした抵抗勢力がマイクロソフト社内に存在しないのは、日本人の目から見ると、まことに不思議である。

 もちろん、不思議に思っているだけでは、事態は進展しない。われわれは、クラウド・コンピューティングの提供主体が日本にも登場することを望むべきだろう。そうしたものが登場したとき、日本は将来に向かって方向性を見出すことになる。



- 信頼に基づくクラウド・コンピューティングが未来をつくる|野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道|ダイヤモンド・オンライン

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