竹熊 小学館の担当者にね、最後の新装版が出て10年も増刷がかかっていないし、よそから出すから絶版にしてほしいって言ったらさ、ちょっと待ってくれってことになって、上に話を通して再販があっさり決まったんですよ。よそで出すとなったら現金なもので(笑)。
それで描き下ろしの付録をつけたんです。それが萌え漫画の書き方。自分のブログで1年ほど前から、僕と相原コージは古い作家だから萌えが分かりません、だから教えてくれと読者に呼びかけましてね。で、相原君がわざとへたくそなタッチで萌えないような女の子のキャラを描いて、それをブログに乗っけて、読者に添削してほしいって言ったら、すごい反応があったの。それがそのままマーケティングになったんです。後は新装版の装丁をどうするかとか、キャッチフレーズを募集しますとかいうのを1年ほどやりました。小学館としては20年前の旧作だから、最初から売れるとは思ってない。だから初版が9000部だったんです。1冊1680円で、漫画としてはえらく高いですよ。上下巻で3360円。そうしたらブログの宣伝効果で、増刷がかかったんですよ。
その直後に僕は脳梗塞(こうそく)で入院したんだけど、Amazonからお見舞いでミネラルウォーターの詰め合わせが一箱、頼んでもいないのに届いた(笑)。その後Amazonの営業が小学館に来て、サルまんのパート2は出さないのかって。それで続編を描く話になったんですよ。
あの時では、サルまんの2.0をやるんだったらネットの公式サイトと連動してやろうと。あとはメディアミックス展開を本当に始めて、アニメを本当に作ろうとかさ。蛙男(商会)さんにも協力してもらうっていう話を取り付けていたんですよ。ほかにも萌えキャラの声優募集ってのをやろうとか、セリフをみんなに吹き込んでもらって人気投票しようと思ってた。もちろん全部「シャレ」でやるんですよ。だから失敗も織り込み済みで、失敗の課程がギャグにできると思っていた。それが全部ダメになったんですよ。
”- 徹底討論 竹熊健太郎×赤松健 Vol.1:電子出版時代における漫画編集者のあるべき姿 (3/3) - ITmedia eBook USER (via katoyuu)