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"若月俊一先生は、名著「村で病気とたたかう」のなかで、 -回虫退治-(113ページ~)  「かっては農村に回虫が多かった。特に私がこの病院に赴任してきた終戦前後はひどかった。腹痛を訴えて来た患者の検便の..."

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若月俊一先生は、名著「村で病気とたたかう」のなかで、
-回虫退治-(113ページ~)

 「かっては農村に回虫が多かった。特に私がこの病院に赴任してきた終戦前後はひどかった。腹痛を訴えて来た患者の検便の結果は、回虫卵70%、十二指腸虫卵12%、鞭虫卵10%という高率だったものである。その頃、私どもが村に出ていってしらべた実態調査の結果によると、回虫を排出したことのある人は農家も非農家も含めて30%、とくに山間部では38%もあった。終戦直後はとくにサントニンが手に入らなくて「虫下し」がかけられなかった。また、化学肥料が足りないために、「下肥え」(人糞)をさかんに使ったと言うこともあったろうが、なんといっても一般的に生活が不潔だったということが根本的な要因ではなかったろうか。盲腸などの開腹手術をすると、腸の中に虫がたくさん入っていて、ちょうどうどんの玉のようにとぐろをまいているのを腸の上から見たりさわったりできたものである。盲腸の中にも入りこんでいて、盲腸を切ると、いっしょに虫体を切断したというようなこともしばしばあった。盲腸が穿孔したための腹膜炎の膿の中に、回虫が泳いでいたこともある。」(略)
-胆石ならぬ胆虫の話-(114ページ~)

 「佐久へきて農民に胆石が多いのに気がついた。初めこれがどうもふにおちなかった。というのは、私などが大学で教わった西洋医学では(とくに私の学位論文は胆石に関するものだった。)、胆石の原因は、主としてコレステリンで、従ってこれは動物性脂肪を多く食べる人に起こりやすいわけである。ところが、この地方の農民は動物性脂肪なんかあまり摂るとは思えない。(中略)そんな生活の農民に胆石が多いのは一体どういうわけであろう。土地の言葉によると、胆石の発作のことを「胃けいれん」という。

またこの胃けいれん発作をくりかえすことを「しゃく」という。いわゆる「持病のしゃく」である。(中略)さて、そのような「持病のしゃく」患者を手術してみておどろいた。胆嚢や胆管の中から出てきたのは、ほとんど石ではなく虫だった。回虫なのである。胆道の中に七匹つまっていたこともあった。これをとりだすと、胆石症状は、忘れたように治ってしまう。(以下略)」


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