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層の浮き上がりと飛び上がり
浮き上がりが激しくなりますと、転倒、落下の危険性が生じてまいります。このようなとき、心柱が層の傾斜を抑制し、転倒、落下を防止する働きをすることが期待されます。
4層で浮き上がりを生じ、心柱の支持点である5層頂部の変位が大きくなりますと、心柱が3層の頂部と接し、梃子の原理で変位に対する抵抗力が5層頂部に発生します。心柱の回転慣性は大きく、偶力だけでも抵抗力になるでしょう。心柱は“綱渡りの棒”のようなもので、上方の層がバランスを失ったときに力となり、同層がバランスを取り戻せば再び塔身に身を委ねます。心柱の繋部分に十分な強度が求められますが、鉛直上向きの力に対して抵抗力をもたない積み重ね式の弱点を、心柱が見事に補っています。