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"そんな折、まさかの Steve Jobs..."

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“そんな折、まさかの Steve Jobs 復帰。

社内の様子は一変しました。最初は熱狂としかいいようのない興奮で迎えられたSteveでしたが、ごく短期間の間にその熱狂は「恐怖」とでもいうような感情によって置き換えられました。

それまでのアップルはよくも悪くも極めて民主的な会社でしたが、一方でどうにも方向性の見えない会社になってしまいました。

しかしSteve のやり方は180度異なっていました。一言で言うなら「独裁主義」です。歯向かうヤツは辺り構わず切られていきました。経営陣はほとんどNeXT から連れてきた連中に入れ替わり、それまでの経営陣はあっと言う間に叩きだされていきました。当時の私の上司だったディレクタもNeXTから来た人に入れ 替わりました。その彼は「傍若無人」としか表現のしようがないほど威張り腐っており、それまでのマネージメント・チームは全否定されバサバサを切られてい きました。ただその傍若無人な態度を認めざるを得ないほどよく働く人でした。NeXTでスティーブの薫陶を受けた連中というのはもう以前のアップルは基準 値が違うという感じで、その日から労働時間が止めどもなく伸びてゆきました。そしてそれから10年以上たった今もアップルはそういうスピードで働いていま す。

私は丁度そのころに管理職に抜擢されましたが、来日した上長に「いいか、お前は選挙で選ばれたんじゃないんだ。お前はこのグループの独裁者になるんだぞ」と言われたのを良く憶えています。

この頃のSteve の運営方針は一言でいうなら「恐怖政治」でした。
社員食堂などで話しかけられシドロモドロになってしまうと「お前は自分がどんな仕事をしているのかも説明出来ないのか?同じ空気吸いたくないな。」などと 言われ首になってしまうと聞きました。たまたまエレベータに乗り合わせて首になった人などの話などもあり、伝説に尾ひれがついて恐怖感が隅々まで行き渡 り、みんなSteve と目も合わせないようにするような始末でした。

しかし独裁政治には良いところもたくさんあります。民主主義時代には整理出来なかった利益を生まない部署が整理され、コミュニケーションが密になり、秘密が外部に漏れなくなっていきました。こうした変化がわずか1年ぐらいで確立されましたから、本当に大した経営者です。

数年後には組織がすっかり綺麗に整理整頓された上、さらに自分が社内でどういう役割を果たしているのか極めて明確に定義されるようになりました。なので自 分の仕事は会社のためになっているのだろうか?世の中のためになっているのだろうか?などと大企業に勤めているとありがちな悩みを持つようなことはなくな りました。また会社の知名度も人気もうなぎ上りだったので非常に誇らしく感じたものです。これほど働きがいがある会社は少ないでしょう。会社に行くのが楽 しい毎日でした。

この頃になるとSteve に対する恐怖感というは「恐怖」というよりも「畏怖」といったような感情に置き換えられした。

そう。Steve って本当に畏れ多い存在だったんです。

その後に続いていく物語は、もう世間が良く知っているお話です。iPod, iTunes,iPhone, iPad と様々な製品が次々と発表され、世界中がSteveの世界の虜になっていきました。”

- Steve Jobs の思い出 | まつひろのガレージライフ (via nakano)

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