

就職人気企業225社のうち60.8%にあたる137社が、国の過労死基準を超える時間外労働を命じることができる労使協定を締結していることが、労働局に対する文書開示請求によって明らかとなった。1年間で見た場合の時間外労働時間ワースト1は、大日本印刷(1920時間)、2位が任天堂(1600時間)、3位がソニーとニコン(1500時間)だった。労使一体となって社員を死ぬまで働かせる仕組みが、大半の企業でまかりとおっていることが改めてはっきりした。人気企業の時間外労働の上限が網羅的に明らかになったのは今回がはじめて。(225社の36協定締結書原文および一覧は、記事末尾よりエクセル・PDFダウンロード可)
【Digest】
◇時間外200時間 任天堂、IHI本社、住友不動産
◇時間外150時間前後 ソニー、NTT各社、日テレなど
◇時間外80時間以上 ユニクロ、富士通、三井住友海上など
◇時間外45時間以下 コナミ、P&G、ミキハウスなど
就職人気企業225社のうち60.8%にあたる137社が、国の過労死基準を超える時間外労働を命じることができる労使協定を締結していることが、労働局に対する文書開示請求から明らかになった。開示請求したのは、「時間外労働・休日労働に関する協定届」で、労働基準法36条に基づいて労使間で結ばれることから「36(サブロク)協定」と呼ばれる。
対象は、2010年2月22日付けの日本経済新聞に掲載された就職人気企業ランキングに掲載された225社。昨年10月下旬、本社所在地の労働基準監督署に提出された協定を開示請求し、1月下旬までに全社分が開示された。


36協定による上限が、過労死の認定基準である「発症前1か月間におおむね100時間」または「発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間」を超える時間外労働が可能かどうかをチェックした。原則として本社の36協定を使用したが、1つの企業で1つの36協定しか出てこなかった場合は、本社であることの記載がなくても本社として扱った。また、本社が複数ある場合は、より長時間となる数字を採用した。
その結果、時間外労働の上限を月100時間以上としているのが、ソニー、NTTドコモ、野村総研、三井物産など50社。トヨタ自動車、ファーストリテイリング、スクウェア・エニックス、ベネッセコーポレーションなど66社が、2カ月連続して80時間以上の時間外労働を可能としていた。このほか、3カ月単位で上限を定めている企業のうち、1カ月で100時間を超える可能性がある企業は、日本テレビ放送網、日立製作所、東京地下鉄、日産自動車、三菱東京UFJ銀行、本田技研工業など21社あった。
開示請求では、人気企業225社のほか、過労死・過労自殺を出していたり、「ブラック企業」の噂のある会社など31社についても追加で請求した。年2000時間の時間外労働を可能としている住友不動産は、この31社に入る。