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- 人はなぜ「自分は大丈夫」と思うのか,防災研究家の片田群馬大学教授に聞く(前編) - インタビュー:ITpro (via otsune)
お婆ちゃんに合意してもらう「戦略」には,色んな手だてがあります。例えば,「お婆ちゃんは,洪水に流れて死んでもいい,と言うけれども,村の人はお婆ちゃんにそんな死に方をしてもらいたくないから,お婆ちゃんのことを放っておけないのだよ」と語りかけます。
「もし,お婆ちゃんが逃げないと言ったら,村の若い人たちは,お婆ちゃんを助けにいかなければならない。お婆ちゃんが逃げないと,村の若い人が危ない目に遭う。それに,お婆ちゃんが土砂に埋もれて死んだら,お婆ちゃんはそれでいいかもしれないけれども,東京に行っている息子さんが恥ずかしい思いをするし,息子さんはずっと悔やむよ。息子さんのためにも,お婆ちゃんは畳の上で死ななきゃいけない」
こう語りかけると,お婆ちゃんも「自分の命は自分一人のものではない。自分の死が,息子に後悔を与えるかもしれない」と思って,「逃げよう」という意識が生まれてくるわけです。
われわれは,専門家同士で議論をして,その中で合理的な判断をしがちです。しかし,行動をしてもらわなければならない対象者には,色んな人がいて,色んな思いの中で生きていて,人によって尺度がバラバラです。だから専門家が「なぜ逃げない」と責め立てても仕方がないのです。
”- 人はなぜ「自分は大丈夫」と思うのか,防災研究家の片田群馬大学教授に聞く(前編) - インタビュー:ITpro (via otsune)