しかし、江戸時代の頃になると、日本酒に指を入れて熱いと手を引くぐらいの温度(65度程度)に加熱(火入れ)しておけば酒が腐らず保存出来る事が分かってきます。パスツールが低温殺菌法(パスチャライゼーション)を始めるおよそ300年前の話です。
更に、大型の樽の登場により一度に大量の酒を作れるようになります。また、幕府が米価を安定させるため、冬場しか酒を作ってはいけないとの令を出すなど、酒を保存する需要も出てきました。
この頃の日本酒は精米技術が低く、吟醸酒を作るような低温発酵の技術も無かったため、雑味が多く、香りや味がかなり濃い物でした。
その為、出来たすぐを飲むよりも、熟成させて味や香りをまろやかにさせた物の方が珍重されたのです。こうして熟成古酒の文化が育っていきます。
ところが、明治時代になり地租改正など税制が変化し、酒に対しても造石税が課せられることとなりました。しぼって酒が出来たところから出来た量に応じて税が課されることになった酒造は、熟成させている間はタンクが使えず税金だけがかかるよりも、直ぐに売ってお金に変えるようになってしまったのです。
醸造技術の向上による大吟醸酒のような香り高い酒の登場など諸説はありますが、こうして熟成古酒の文化は衰退したと言われています。
”- 日本酒は長期保存しても酢にはならず逆にうまくなる - デイリーポータルZ:@nifty (via neon4)