10年前のこの日曜日、Marcoとボクは
ひっそりと盛大にTumblrの立ち上げをお祝いしました。みんながなんでも投稿できてカスタマイズもガンガンできる、そんなプラットフォームを作りたかったのです。
世界はTumblrを本当に必要としているのか? その時にはわからなかったけど、少なくとも今言えるのは、その時ボクはTumblrを必要としていたということ。
2006
この頃ネットはほぼ無限の存在に。ウェブブラウザが次第にマルチメディアの原動力と化してきた頃です。「ソーシャルメディア」は最新のニュースを満載しネットをにぎわすエンターティメントへと成長を遂げました。このころやっと1歳になったYouTubeの爆発的「バイラル」動画は社会現象にまでなりました。Googleの“podcast”ヒット件数は1年以内に10万件から10億件へと急上昇。Twitterもこのころ誕生しています。
大きなコミュニティを抱えるようになった「ブロゴスフィア 」もその声を反映するようになり、ブログの総数は半年ごとに倍増していた時期でした。
これらの進化の真っただ中において、インターネットの展望は次第にその輝きを失っていきます。大きく世界に広がり続けたワールドワイドウェブの曖昧な境界は一部のプラットフォームによってどんどん狭められていくようになっていったのです。画像、動画、音楽、日記、記事、リンク、ステータスアップデートはさまざまなネットワークへと散らばっていきました。そのいずれもが唯一のプラットフォームであり続けようとしたのです。HTMLの無限に表現が可能なキャンバスは白いプロフィールページによって陰りを見ることになったのです。デジタルアイデンティティにひびが入り、エンジニアが君臨した時代でした。
そこにTumblehubTumblespot Tumblrが登場しました。自分たちを“tumbleloggers”と呼ぶアバンギャルドなブロガーコミュニティにインスパイアされたソリューションでした。ブロガーひとり一人がそれぞれの表現をめいっぱい繰り広げることのできるスペース。フィルタなしの赤裸々な声と、
しっかりと編集が行き届いた記事の中間的存在となりました。デザインと外観のプレゼンテーションを完全にカスタマイズできるため、誰でもまったくユニークな形で自分を表現できたのです。
2007
Tumblrで自分のブログを数カ月間書きためてから、いろんなところを改善したり開発を進めたりしながら、一般に公開するようになりました。多くの人がTumblrを使うようになり、これまでインターネットで見たこともなかったような多様で、美しく、巧みなブログが公開されるようになりました。
ボクたちは畏敬の念に打たれたものでした。
それに追いつこうと、新しく追加する機能はキャンバスをさらに広げていきます。コミュニティの境界を越えた一貫した創造性にボクたちはさらに背中を押されていきます。5カ月間でボクたちのハートを掴んだユーザーのおかげで、 Tumblrはボクたちのフルタイムプロジェクトになっていったのです。
新しい目標と勇気ある投資家とともにウェブ開発ビジネスをたたみ、ボクたちはTumblr, Inc.として再出発しました。
2017
現在、Tumblrブログの総数は3億3600万件、投稿数は146億件を超え、さらに増え続けています。
文化を再定義するアーティスト、ライター、クリエイター、活動家たちが活躍できる時代の到来です。
Tumblrにはいくら感謝してもしきれないないくらいです。私たちが作り上げてきたすべてのもの、そして到達できなかったものにすら感謝したい気持ちです。世界でもっともクリエイティブで生き生きとして、思考にあふれ、支援的でオープンマインドな場所へとTumblrを成長させてきたのは他でもないみなさんです。
みなさんがいたからこそ、ボクたちはいろんなことを学ぶことができました。みなさんの声にボクたちは突き動かされてきたのです。
これからの10年
今、インターネットは再び大切な岐路に立たされています。
インターネット文化は力を増し、グローバル文化へと進化を遂げました。ネットワークにより新しい概念や情報がもたらされるようになりましたが、大きなバブルに閉じ込められることも多くなっていきます。世界は圧縮され、多様化と折り合いをつけるようせかされているような時代です。
デジタル表現の障壁は取り払われ、あらゆるプラットフォームでほとんどのメディアをサポートできるようになりました。この空間には自由、真実、広い視点、そして世界に肯定的な影響を与える未曾有の機会が広がっています。Tumblrが今後10年間にあてる焦点も、それに応じてシフトしていくでしょう。
表現は常にTumblrの基盤であり、これからもそうあり続けるでしょう。今年のロードマップが失望へと導くことはありません。ここで繁栄し続けるコミュニティ全体のポジティブで生産的なつながりを強化することが性急となっています。 肯定的な会話が毒々しさを上回るように。真実を得るため自由に概念を交換できるように。そして、真に安全でありのままの自分でいられる環境を作り出すことが求められているのです。
それをみなさんにしっかりとお見せすることをお約束します。そしてボクたちはこの新しい焦点へ向けて、ここに決意を新たにします。
最後に
みなさんから、沢山のことを学ばせてもらいました。こんなにも才能にあふれ、輝きを放つ人たちに囲まれたボクは本当に恵まれています。ボクのこの旅は、みなさんの熱狂的な献身なくしてここまでこれなかったでしょう。 Tumblrを一緒に作りあげてきてくれたみなさん、さらに今まで関わってきてくれた人たち全員に、心の底からありがとうと言わせてください。
10年後も”Fuck yeah” 💙